Vol.52 No.5 May 2004
原著・基礎
マウス混合肺感染モデルに対するamoxicillinからcefditoren pivoxilへの切り換え療法
明治製菓株式会社感染症研究所*
要旨
Penicillin-susceptible Streptococcus pneumoniae(PSSP)とβ-lactamase negative ampicillin resistant Haemophilus influenzae(BLNAR)によるマウス混合肺感染モデルを用いて,cefditoren pivoxil(CDTR-PI)またはamoxicillin(AMPC)の治療効果を検討した。
その結果,PSSPに対してCDTR-PIでは30 mg/kg/day以上で,またAMPCにおいては18.8 mg/kg/day以上の投与量においてそれぞれ治療効果がみられた。一方,BLNARに対してCDTR-PIは7.5 mg/kg/day以上の投与量において治療効果を示したが,AMPCでは300 mg/kg/dayの投与量においても効果がみられなかった。
さらに,BLNARに対してAMPCからCDTR-PIへ切り換え治療を行うことで治療効果が認められた。しかし,cefcapene pivoxilおよびcefdinirへの切り換えではAMPC単独での治療効果と差が認められなかった。これより,S. pneumoniaeとH. influenzaeの混合感染症の第一選択薬としてのみならず,たとえAMPCからの第二選択薬としてもCDTR-PIを選択することにより,本症を根治させ得る可能性を示すものである。
Key word
cefditoren pivoxil, amoxicillin, mixed lung infection, β-lactamase negative ampicillin resistant Haemophilus influenzae, oral cephems
別刷請求先
*神奈川県横浜市港北区師岡町760
受付日
平成16年3月1日
受理日
平成16年4月22日
日化療会誌 52 (5): 251-255, 2004