Vol.52 No.11 November 2004
原著・基礎
山梨県内で実施したCandida属サーベイランス
1)山梨厚生病院細菌検査室*, 2)山梨大学医学部附属病院検査部
3)市立甲府病院検体検査室, 4)山梨県立中央病院検査部
5)社会保険山梨病院細菌検査室, 6)甲府共立病院検査部
7)山梨大学医学部臨床検査医学
要旨
平成15年4月から同年9月までの6カ月間に山梨県内の6施設において,Candida属の分離頻度と耐性頻度を調査した。
調査期間中に検査依頼された検体は合計8,496検体であり,そのうちCandida属が優位に分離されたのは608株(7.2%)であった。菌種別内訳はCandida albicansの分離頻度が最も高く,分離されたCandida属全体の2/3に当たる67.3%(409株)を占めた。次いで,Candida glabrata(16.0%;97株),Candida tropicalis(14.0%;85株)の順であり,Candida parapsilosisは1.6%(10株)であった。
分離頻度の高いC. albicans,C. glabrataおよびC. tropicalisの合計420株に対する感受性測定を行ったところ,amphotericin Bは1 μg/mL,micafunginは0.13 μg/mLで全株の増殖を抑制した。しかし,fluconazoleのMIC値は0.13 μg/mLから≧128 μg/mLに分布し,用量依存的感性株は2.6%,耐性株は2.1%存在していた。
多施設で実施した真菌サーベイランス結果を詳細に解析することは診断と治療が困難な深在性真菌症における治療薬の選択の一助になるものと考えている。
Key word
surveillance, Candida spp., drug-resistance, fluconazole, micafungin
別刷請求先
*山梨県山梨市落合860
受付日
平成16年8月17日
受理日
平成16年9月15日
日化療会誌 52 (11): 654-659, 2004