Vol.53 No.2 February 2005
原著・臨床
急性副鼻腔炎に対するgatifloxacinの有効性について
宇野耳鼻咽喉科クリニック*
要旨
2003年2月から5月までの間に,当院を受診した成人急性副鼻腔炎症例に対し,Gatifloxacin(GFLX)を用いて治療を行い,その臨床的検討を行うとともに,検出された細菌のうちStaphylococcus aureus,Streptococcus pneumoniae,Haemophilus influenzae,Streptococcus pyogenes,Moraxella catarrhalisに対する薬剤感受性の検討を行ったので報告する。
この期間に,当院を受診した成人急性副鼻腔炎症例は98人であり,脱落症例を除く82症例で臨床的検討を行った。
GFLXは1回100 mg 2錠を1日2回7日間投与し,以下の結果が得られた。
(1)臨床的有効度は,軽症症例12/14(85.7%),中等度症例37/40(92.5%),重症症例22/28(78.6%)であり,全体としては71/82(86.6%)の有効率であった。また,全体的な有効性の程度は,著効62症例,有効9症例,やや有効6症例,無効5症例であった。
(2) X線所見に基づく有効性は,著効35症例,有効20症例,やや有効13症例,無効14症例であり,有効率は68/82(82.9%)であった。
(3)主な検出菌のMIC90はHaemophilus influenzaeが≦0.03 μg/mL,Moraxella catarrhalisが0.12 μg/mL,Streptococcus pneumoniaeとStreptococcus pyogenesが0.5 μg/mL,Staphylococcus aureusが4 μg/mLであった。
(4)明らかな副作用は,今回の検討中認められなかった。
今回の検討より,GFLXは成人の急性副鼻腔炎に対し有効な抗菌薬であると考えられた。
Key word
gatifloxacin, fluoroquinolone, acute sinusitis, clinical effect
別刷請求先
*岡山県岡山市富原3702-4
受付日
平成16年12月8日
受理日
平成17年1月11日
日化療会誌 53 (2): 142-150, 2005