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書誌情報

Vol.53 No.10 October 2005

市販後調査

呼吸器および尿路由来の臨床分離株に対するgatifloxacinの抗菌力(2004年度)

山口 惠三1), 古谷 信彦1), 岩田 守弘2), 渡邉 直樹3,4), 上原 信之4), 保嶋 実5), 葛西 猛6), 賀来 満夫7), 阿部 裕子8), 猪狩 淳9), 小栗 豊子10), 馬場 尚志11), 吉村 平12), 山中 喜代治13), 一山 智14), 草野 展周15), 村尾 奈緒子15), 小野 順子16), 藤 洋美16), 岡田 薫17), 石田 雅己18), 平潟 洋一19), 松田 淳一19)

1)東邦大学医学部微生物・感染症学講座, 2)東邦大学医療センター大森病院検査部
3)札幌医科大学医学部臨床検査医学講座, 4)札幌医科大学附属病院検査部
5)弘前大学医学部臨床検査医学講座, 6)弘前大学医学部附属病院検査部
7)東北大学大学院医学系研究科感染制御・検査診断学, 8)東北大学病院検査部
9)順天堂大学医学部臨床病理学教室, 10)順天堂大学医学部附属順天堂医院臨床検査部
11)名古屋大学医学部附属病院難治感染症部, 12)三重県立志摩病院内科
13)大手前病院臨床検査部, 14)京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学講座
15)岡山大学医学部・歯学部附属病院中央検査部, 16)福岡大学病院臨床検査部
17)北九州市立医療センター総合診療科, 18)北九州市立医療センター臨床検査科微生物
19)長崎大学医学部・歯学部附属病院検査部

要旨

 臨床分離株のgatifloxacin(GFLX)に対する感受性の経年的推移を検討する目的で,2002年度に引き続き,2004年11月から2005年3月までにわが国の15施設において,喀痰・尿・副鼻腔液などから分離されたグラム陽性4菌種,グラム陰性7菌種,計2,508株についてGFLXを含めた12薬剤に対する薬剤感受性を測定した。Streptococcus pneumoniaeに対するGFLXのMIC50,MIC90はともに0.25 μg/mL,感性率は96.5%と他のフルオロキノロン系抗菌薬に比べて優れた抗菌活性と高い感性率が示された。一方,ペニシリン耐性はGFLXの抗菌力と感性率には影響をもたらさなかった。Haemophilus influenzaeMoraxella catarrhalisに対するフルオロキノロン系抗菌薬のMIC90は0.015~0.03 μg/mLと非常に低い値を示した。Escherichia coliおよびEnterococcus faecalisに対するGFLXのMIC50はおのおの0.06 μg/mL,0.5 μg/mL,MIC90はおのおの8 μg/mL,16 μg/mLであり,フルオロキノロン系抗菌薬に対する耐性率は17.2~33.5%であった。本結果より,フルオロキノロン系抗菌薬は前回調査時と同様にH. influenzaeM. catarrhalisに強い抗菌活性を示していた。中でもGFLXはS. pneumoniaeのMIC90が0.25 μg/mLと上市時と変わらない優れた抗菌活性を有しており,呼吸器・耳鼻咽喉科・泌尿器科領域感染症のエンピリック治療に有用であると考えられた。なお,フルオロキノロン系抗菌薬のE. coliE. faecalisに対する抗菌活性は2002年度とほとんど変わらなかったが,今後も継続的な調査が必要であると思われた。

Key word

fluoroquinolone, gatifloxacin, surveillance

別刷請求先

東京都大田区大森西5-21-16

受付日

平成17年8月19日

受理日

平成17年9月26日

日化療会誌 53 (10): 627-640, 2005