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書誌情報

Vol.53 No.12 December 2005

原著・基礎

ブレイクポイント付近のoxacillin感性を示すStaphylococcus aureusにおけるMRSAの判定

金山 明子, 高橋 裕子, 松崎 薫, 小林 寅てつ

三菱化学ビーシーエル化学療法研究室

要旨

 OxacillinのMIC値が1,2,4,8 μg/mLを示すborderline oxacillin-resistant Staphylococcus aureus(BORSA)79株について,NCCLS(現CLSI)M100-S14(2004年)に新たに追加されたcefoxitin diskを用いたoxacillinスクリーニング法(cefoxitinテスト)を含む各種方法にてmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)の判定を実施した。その結果,mecA保有とoxacillinのMICが一致しない例が認められ,oxacillin感受性と判定された1 μg/mLの30株では1株,2 μg/mLの30株では5株がmecA(+)であった。一方oxacillin耐性である4,8 μg/mLではmecA(-)株は認めなかった。同様にoxacillin感受性株にpenicillin-binding protein 2’(PBP2’)産生株が認められたが,耐性株に非産生株は認められなかった。54株のmecA(-)株に12株のPBP2’産生株が存在し,このうち7株は反応が弱く,弱陽性と判定した。しかしこれら12株はoxacillin感受性,cefoxitinテストともに感受性を示すことからPBP2’の結果は非特異的反応によるものと推察された。Cefoxitinテストによる成績ではoxacillin感受性株60株中53株がcefoxitinにおいても感受性を示したが,7株が耐性を示し阻止円径は判定境界付近の値であった。Oxacillin耐性株19株のうち1株がcefoxitinテストで感受性であったが,その他はすべて耐性となった。Cefoxitinテストのエラー頻度はvery major error:1.3%,major error:8.9%であり良好な結果であったが,BORSAの場合は判定境界付近の阻止円径を示すことがあり,他の方法での追加確認が必要であると考えられた。

Key word

MRSA, cefoxitin, PBP2’, mecA, oxacillin susceptible Staphylococcus aureus

別刷請求先

東京都板橋区志村3-30-1

受付日

平成17年9月8日

受理日

平成17年11月1日

日化療会誌 53 (12): 727-731, 2005