ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.53 No.12 December 2005

原著・臨床

後期高齢者誤嚥性肺炎の臨床的特徴

小野 博美1), 石崎 武志2), 永井 敦子1), 大滝 哲朗1), 橋本 守啓1), 金森 一紀1), 門脇 麻衣子3), 上坂 太祐3), 水野 史朗3), 出村 芳樹3), 飴嶋 慎吾3), 大滝 秀穂1)

1)大滝病院内科
2)福井大学医学部看護学科
3)同 第3内科

要旨

 背景:わが国では高齢の老健施設入所者が増加している。これら高齢者は誤嚥性肺炎を含む呼吸器感染症で死亡する割合が高い。
 目的:誤嚥性肺炎を発症した後期高齢老健施設入所者の臨床的特徴を検討する。
 対象および方法:ケアミックス型病院に入院した平均年齢85.8歳の104例(114エピソード)の誤嚥性肺炎を検討した。誤嚥性肺炎の診断は嚥下性肺疾患研究会の提唱する臨床診断基準に準拠した。
 結果:老健施設から59.6%,自宅からは35.1%が入院してきた。37.5℃以上は32.5%,末梢血白血球数9,000/μL以上は33.3%を占めた。誤嚥性肺炎群の54エピソード(47.4%)に病原細菌が検出され,そのなかの25エピソード(46.3%)はグラム陰性桿菌,21エピソード(38.9%)はMRSAであった。初期抗菌薬としてpiperacillin(PIPC)が42.1%,meropenem(MEPM)が32.5%,次いで,cefazolin(CEZ)20.2%の順に多く使用され,それぞれの反応性はMEPM群で80.0%,次いで,CEZ群の61.9%,PIPC群の50.0%であった。27例で抗菌薬が変更されたが,結局22例は不幸な転帰をたどった。予後不良群は,直前まで経口摂取例,合併症の出現例,経皮酸素飽和度低下(動脈血酸素分圧低下)例,発熱程度が軽い例,CRP値上昇例,血清アルブミン値低値例であった。
 結論:前向き研究が必要であるが,後期高齢者の誤嚥性肺炎の臨床的特徴と予後推定因子を明らかにしえた。

Key word

elderly, nursing home, prognostic factors

別刷請求先

福井県吉田郡松岡町下合月23-1

受付日

平成17年4月1日

受理日

平成17年10月25日

日化療会誌 53 (12): 741-747, 2005