Vol.54 No.2 March 2006
原著・基礎
Methicillin耐性Staphylococcus aureusに対するグリコペプチド系とβ-ラクタム系抗菌薬のin vitro併用効果
1)富士重工業健康保険組合総合太田病院小児科*
2)同 薬剤部, 3)独立行政法人 国立病院機構東京医療センター小児科
4)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院小児科, 5)北里大学医学部感染症学
要旨
新生児集中治療施設収容の新生児から分離した49株のmethicillin耐性Staphylococcus aureus(MRSA)を用いて,teicoplanin(TEIC)あるいはvancomycin(VCM)と6種のβ-ラクタム系抗菌薬とのin vitro併用効果を検討した。
TEICとimipenem(IPM),meropenem(MEPM),panipenem(PAPM),cefpirome(CPR),flomoxef(FMOX)あるいはsulbactam(SBT)/ampicillin(ABPC)を併用したところ,相乗作用を示した菌株数は16~48株であった。特にIPM,MEPM,PAPMのカルバペネム系抗菌薬あるいはFMOXとの併用で多くの菌株で相乗作用を示すことが確認された。なお,CPRとの併用で不変が3株にみられたが,拮抗作用を示す菌株はなかった。一方,VCMでは相乗作用を示した菌株数は1~32株であり,不変を示す株が1~17株,拮抗作用を示す株が2~6株みられた。
以上の結果より,TEICは供試したβ-ラクタム系抗菌薬との併用では,VCMよりも優れた協力作用を示すことが確認された。
Key word
MRSA, teicoplanin, vancomycin, β-lactam, combination effect
別刷請求先
*群馬県太田市八幡町29-5
受付日
平成17年10月25日
受理日
平成17年12月12日
日化療会誌 54 (2): 95-101, 2006