Vol.55 No.6 November 2007
原著・臨床
高齢者慢性呼吸器疾患の二次感染に対するgatifloxacinとlevofloxacinの7日間投与の比較試験
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学系専攻感染免疫学講座先進感染制御学分野(第二内科)*
要旨
今回,65歳以上の慢性呼吸器疾患の二次感染に対するgatifloxacin(GFLX)1回100 mg,1日2回投与の有用性を客観的に検証するため,同じニューキノロン系抗菌薬であるlevofloxacin(LVFX)を対照薬として有用性を比較検討した。
2006年1月から2007年4月の間に,長崎大学第二内科および関連病院を受診した,65歳以上の慢性呼吸器疾患の二次感染患者72例を対象とし,GFLX 1回100 mg,1日2回投与群,LVFX 1回200 mg,1日2回投与群の2群に無作為に割付を行った。投与期間は7日間とした。
本試験の対象72例中,臨床効果解析対象60例(GFLX群;33例,LVFX群;27例)における有効率は,GFLX群78.8%(26/33),LVFX群70.4%(19/27)であった。副作用については両群とも認められず,臨床検査値異常がGFLX群4例において認められたがいずれも重篤なものではなかった。
65歳以上の高齢者慢性呼吸器疾患の二次感染に対して,GFLXの1回100 mg,1日2回投与は,LVFX 1回200 mg,1日2回投与と同等もしくは同等以上の有用性を示すことが示唆された。
Key word
gatifloxacin, levofloxacin, chronic respiratory tract infection, elderly
別刷請求先
*長崎県長崎市坂本1-7-1
受付日
平成19年8月10日
受理日
平成19年9月14日
日化療会誌 55 (6): 441-450, 2007