Vol.56 No.S-1 April 2008
原著・臨床
Sitafloxacinの腎機能障害者における体内動態
1)浜松シーピーティー研究所*
2)岐阜大学医学部
要旨
腎機能障害の程度をCcrを指標として軽度障害群(I群:60 mL/min≦Ccr<90 mL/min),中等度障害群(II群:30 mL/min≦Ccr<60 mL/min)および高度障害群(III群:10 mL/min≦Ccr<30 mL/min)の3群に分け,各群(I群:6名,II群:3名,III群:3名)におけるsitafloxacin(STFX)の薬物動態を比較検討した。
STFX 50 mg空腹時経口単回投与後のAUCはI群が4.66 μg・h/mL,II群が8.04 μg・h/mL,III群が9.95 μg・h/mLであり,腎機能の低下とともに増加した。T1/2はそれぞれ7.5,11.5,16.3時間であり,腎機能の低下とともに延長した。投与開始後48時間までの累積尿中排泄率はI群が48.9%,II群が44.7%,III群が20.1%であり,腎機能の低下に伴い減少する傾向が認められた。Cmaxおよび最高血清中濃度到達時間(tmax)は腎機能障害の程度にかかわらずほぼ一定であった。副作用が12名中3名(25.0%)に9件認められたが,すべて無処置で発現日の翌日には消失し,重篤な有害事象は認められなかった。
以上より,STFXの腎機能障害者への投与に際しては,1日投与量の減量や投与間隔の延長などの調節が必要であると考えられた。
Key word
sitafloxacin, renal dysfunction, pharmacokinetics, clinical trial
別刷請求先
*静岡県浜松市中区助信町40-3
受付日
平成19年10月5日
受理日
平成19年12月28日
日化療会誌 56 (S-1): 21-24, 2008