Vol.56 No.S-1 April 2008
原著・臨床
男子非淋菌性尿道炎を対象としたsitafloxacinの一般臨床試験
1)岐阜大学医学部*
2)産業医科大学泌尿器科
3)東京慈恵会医科大学附属病院感染制御部
4)東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座感染制御検査診断学分野
5)東京慈恵会医科大学薬理学講座
要旨
経口ニューキノロン系抗菌薬であるsitafloxacin(STFX)の男子非淋菌性尿道炎に対する有効性および安全性を検討した。STFXの用法・用量は1回50 mg 1日2回7日間経口投与とした。臨床効果はUTI薬効評価基準(第4版暫定案)追補に準じて判定した。
総合臨床効果の有効率は,全体で88.6%(31/35)であり,投与前に検出された病原体により分類された疾患名別の有効率は,クラミジア性尿道炎で85.2%(23/27),非クラミジア性非Mycoplasma genitalium性尿道炎で100%(7/7)であり,M. genitalium性尿道炎の1例は著効であった。病原体別の消失率は,Chlamydia trachomatisで96.0%(24/25),Ureaplasma urealyticumで88.9%(8/9),Ureaplasma parvumで100%(7/7)であり,M. genitaliumは3株中2株が消失した。副作用は27.3%(12/44)に発現し,主な副作用は下痢であった。副作用の重症度は,いずれも軽度あるいは中等度であった。
以上の成績より,STFXは非淋菌性尿道炎の治療に有用な薬剤であると考えられた。
Key word
sitafloxacin, nongonococcal urethritis, clinical trial
別刷請求先
*岐阜県岐阜市柳戸1-1
受付日
平成19年10月5日
受理日
平成19年12月4日
日化療会誌 56 (S-1): 130-138, 2008