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書誌情報

Vol.56 No.S-1 April 2008

原著・臨床

男子淋菌性尿道炎を対象としたsitafloxacinの一般臨床試験

小野寺 昭一1), 堀 誠治2)

1)東京慈恵会医科大学附属病院感染制御部
2)東京慈恵会医科大学薬理学講座

要旨

 ニューキノロン系経口抗菌薬であるsitafloxacin(STFX)の男子淋菌性尿道炎に対する有効性および安全性を瀬踏み的にSTFX 200 mg単回経口投与により検討した。臨床効果はUTI薬効評価基準(第4版暫定案)追補に従って判定した。
 総合臨床効果の有効率は75.0%(9/12)であった。本試験で分離されたNeisseria gonorrhoeae 12株に対するSTFXのMICは0.001 μg/mL以下から0.25 μg/mLに分布し,MICが0.25 μg/mLの株が3株認められた。N. gonorrhoeaeの消失率は75.0%(9/12)であった。MIC別の消失率は,STFXのMICが0.06 μg/mL以下の株で100%(8/8)であったが,MICが0.12 μg/mL以上のキノロン耐性株で25.0%(1/4)であった。12株中7株ではciprofloxacinのMICが1 μg/mL以上であり,この7株すべてにGyrAとParCのquinolone-resistance-determining regionsにアミノ酸置換が認められた。このキノロン耐性変異が認められた7株中4株は消失した。
 副作用発現率は25.0%(3/12)であった。内訳は下痢,頭痛,血中ビリルビン増加が各1例であった。すべての症状の程度は軽度であった。
 以上より,STFX 200 mg単回投与では,キノロン耐性淋菌による尿道炎に対する臨床効果が不十分であると判断した。なお,STFXの200 mg単回投与の安全性に問題はないと考えられた。

Key word

sitafloxacin, gonococcal urethritis, quinolone-resistance, clinical trial

別刷請求先

東京都港区西新橋3-19-18

受付日

平成19年11月2日

受理日

平成19年12月28日

日化療会誌 56 (S-1): 146-153, 2008