Vol.56 No.3 May 2008
市販後調査
臨床分離Candida属およびAspergillus属真菌のmicafungin感受性―第2報―
1)三菱化学メディエンス株式会社化学療法研究室*
2)アステラス製薬株式会社プロダクトマーケティング部
3)同 薬理研究所
4)同 育薬情報部
要旨
市販後調査の一環として、2005年1月から2006年12月の期間に全国の医療機関において真菌感染症が疑われた患者より分離したCandida属6種410株およびAspergillus属4種280株,合計690株のmicafungin(MCFG)およびその他抗真菌薬7薬剤(amphotericin B,fluconazole,itraconazole,miconazole,flucytosine,caspofungin,voriconazole)に対する感受性を測定し、過去の成績と比較した。Candida属に対するMIC測定はClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)M27-A,Aspergillus属に対してはCLSI M38-Pに準拠した微量液体希釈法で実施し,Candida属についてはスコア0に加えて,キャンディン系抗真菌薬のCandida属に対する判定基準としてCLSIで標準化が進められているスコア2でのMICも参考値として測定した。その結果,fluconazole耐性を含むCandida albicans 130株,Candida tropicalis,Candida glabrata,Candida parapsilosis,Candida kruseiおよびCandida guilliermondii各50株に対するMCFGのMIC90値はおのおの0.015 μg/mL,0.03 μg/mL,0.015 μg/mL,2 μg/mL,0.25 μg/mLおよび4 μg/mLであった。Aspergillus fumigatus 100株に対するMCFGのMIC90値は0.015 μg/mL,その他のAspergillus属180株に対するMCFGのMIC90値は0.008 μg/mL~0.03 μg/mLであった。今回得られたCandida属およびAspergillus属に対するMIC値は2001年~2002年,2003年~2004年に収集した菌株の感受性結果と比較して変動は認められなかった。なお,スコア2でのMIC値はスコア0でのMIC値に比較して低い傾向が認められ,特にC. guilliermondiiに対するMICで著しい乖離が認められた。以上,MCFGは検討した抗真菌薬のなかで最も優れた抗真菌活性を示し,また,2001年から2年ごとに実施してきた以前の結果と比較してMCFGに対する高い感受性は保持されていた。
Key word
Candida, Aspergillus, micafungin, antifungal activity
別刷請求先
*東京都板橋区志村3-30-1
受付日
平成19年12月7日
受理日
平成20年3月4日
日化療会誌 56 (3): 344-352, 2008