Vol.56 No.4 July 2008
原著・臨床
小児呼吸器感染症患者におけるcefteram pivoxil高用量投与時の有効性と安全性
1)外房こどもクリニック*
2)旭川厚生病院小児科
3)富士重工業健康保険組合総合太田病院小児科
4)高島小児科医院
5)名鉄病院小児科
6)川崎医科大学小児科学
7)北里大学医学部感染症学(現 北里生命科学研究所大学院感染制御科学府)
要旨
Cefteram pivoxil細粒(以下,CFTM-PI細粒)の承認最大用量での有効性と安全性を確認し,あわせて他の経口セフェム細粒群(以下,CE群)と副作用発現頻度について比較した。2005年9月~2006年3月までに調査施設に受診し,咽頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,肺炎と診断された15歳未満の小児CFTM-PI細粒群259例(中央値4.2歳),CE群108例(cefcapene pivoxil 45例,cefditoren pivoxil 49例,その他14例)(中央値3.5歳)を対象とした。投薬量はCFTM-PI細粒18 mg/kg,原則5日間(肺炎は7日間)・分3の投薬とし,5日後(肺炎は7日後)までに有効性を評価した。CE群の投薬量は承認用法・用量とし,投薬期間は定めなかった。有害事象は投薬終了時に確認した。
CFTM-PI細粒群およびCE群の投薬期間は各5.96±1.76日,6.27±1.94日であった。CFTM-PI細粒群の有効性解析対象症例は223例であり,臨床効果は4.21±1.18日後に評価され,有効率は咽頭炎96.2%(128/133),扁桃炎97.4%(37/38),急性気管支炎97.4%(38/39),肺炎100%(13/13),全体で96.9%(216/223)であった。主な検出菌別の臨床効果は延べ症例数で,Streptococcus pneumoniae 100%(28/28),Streptococcus pyogenes 98.8%(85/86),Haemophilus influenzae 95.0%(57/60),Moraxella(Branhamella)catarrhalis 100%(24/24)であった。このうち,S. pneumoniae 28例中PISP 6例,PRSP 7例,H. influenzae 60例中にBLNAR 9例が認められた。服薬性は,70.7%(183/259)が「飲みやすい」以上であった。副作用はCFTM-PI細粒群,CE群ともに全例消化器症状であり,発現率は各5.4%(14/259),13.0%(14/108)であり,3歳未満の副作用発現率はCFTM-PI細粒群9.4%,CE群26.2%でCFTM-PI細粒群が有意に低かった(p=0.0129)。
以上のことより,CFTM-PI細粒の高用量投薬は,小児呼吸器感染症に対して十分な治療効果を示し,耐性菌による感染症への有効な治療法として期待できる。
Key word
cefteram pivoxil, pediatric respiratory infection, high dosing, post-marketing surveillance
別刷請求先
*千葉県いすみ市岬町和泉1880-4
受付日
平成19年12月19日
受理日
平成20年3月5日
日化療会誌 56 (4): 453-461, 2008