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書誌情報

Vol.56 No.4 July 2008

原著・臨床

血液透析患者におけるpazufloxacin mesilate反復投与時の体内動態

古久保 拓

白鷺病院薬剤科

要旨

 ニューキノロン系合成抗菌薬のpazufloxacin mesilate(PZFX)の腎不全患者における体内動態に関する検討は十分でない。今回,のう胞腎感染症と診断された4名(年齢65.3±9.7歳,体重49.0±4.1 kg,男1名)の血液透析(HD)患者を対象として,PZFX 300 mgを週3回HD後に投与し,体内動態を評価した。初回投与時のPZFXのCmaxは10.47±2.19 μg/mL,AUC(0-∞)は421±175 μg・h/mLであり,腎機能正常者に比べ消失の著しい遅延が認められた。一方で,3回目投与時の投与終了2時間後の血漿濃度は11.12±2.30 μg/mLであり,この値は健常成人に常用量を反復投与した成績と同レベルであり,消失の遅延から予測される程度には上昇していなかった。HD除去率は4時間のHDによりみかけ上58.7±7.7%であったが,HD終了1時間後までに認められた平均13.5%のリバウンド現象を考慮すると45.2±5.9%と算出された。全例において治療期間内に血漿濃度依存的な毒性は認めなかった。以上より,HD患者におけるPZFXの消失は腎機能正常患者に比べ大幅に遅延しているものの,HD除去性が高いために血漿濃度の蓄積性は小さいと考えられ,毎HD後の投与が合理的であると考えられた。

Key word

pazufloxacin, hemodialysis, pharmacokinetics, renal failure

別刷請求先

大阪府大阪市東住吉区杭全7-11-23

受付日

平成19年12月17日

受理日

平成20年3月19日

日化療会誌 56 (4): 462-466, 2008