Vol.57 No.S-1 March 2009
原著・臨床
腎機能低下者におけるtebipenem pivoxil錠の薬物動態および安全性の検討
1)株式会社浜松シーピーティ研究所*
2)明治製菓株式会社臨床開発部
要旨
Tebipenem pivoxil(TBPM-PI)は新規の経口カルバペネム系抗菌薬であり,活性本体TBPMをプロドラッグ化して経口吸収性を高めた薬物である。TBPMは主として腎より排泄されるため,腎機能低下者および腎機能正常者を対象として,TBPM-PI錠剤250 mg(力価)を単回経口投与した時の薬物動態および安全性を検討した。被験者をクレアチニンクリアランス(Ccr)により,Ccr≥80 mL/min(n=6),50≤Ccr<80 mL/min(n=6),30≤Ccr<50 mL/min(n=2)およびCcr<30 mL/min(n=3)の4群に分類し,各群の薬物動態を検討した。
その結果,腎機能の低下に伴ったTBPMの腎クリアランスの低下,AUC0-∞の増大,Cmaxの増加,t1/2の延長および尿中排泄率の低下,尿中排泄速度の低下が認められ,特にCcr<30 mL/minの群において顕著であった。また,TBPMの腎クリアランスおよび見かけの全身クリアランスはいずれもCcrと高い相関を示し,TBPMの排泄は腎機能により影響を受けることが確認された。
安全性において,大きな問題はなかった。
TBPM-PIの薬物動態は腎機能の程度により影響を受けることから,腎機能低下者に投与する際は必要に応じ適切に使用することが望ましいと考えられた。
Key word
tebipenem pivoxil, renal insufficiency, pharmacokinetics
別刷請求先
*静岡県浜松市中区助信町40-3
受付日
平成20年10月15日
受理日
平成20年12月12日
日化療会誌 57 (S-1): 109-114, 2009