Vol.57 No.4 July 2009
原著・臨床
急性単純性膀胱炎に対するcefcapene pivoxil 300 mg 7日間投与の臨床効果―3日後と7日後の臨床効果の比較―
1)神戸大学医学部附属病院泌尿器科*
2)新日鐵広畑病院泌尿器科
3)三田・寺杣泌尿器科医院
4)市立西脇病院泌尿器科
5)三木市民病院泌尿器科
6)淀川キリスト教病院泌尿器科
7)神戸赤十字病院泌尿器科
8)鐘紡記念病院泌尿器科
9)公立宍栗総合病院泌尿器科
10)神戸大学医学部保健学科
要旨
急性単純性膀胱炎に対する経口セフェム系抗菌薬の3日目と7日目の臨床効果を比較検討する目的で,cefcapene pivoxil(CFPN-PI)を用い,常用量での3日目と7日目の臨床効果を検討した。
対象はUTI薬効評価基準(第4版暫定案)に合致する患者条件をもつ18歳~69歳の女性とした。その結果,総合臨床効果は70例中,3日目判定では,著効47例,有効22例,無効1例で,著効率は47例/70例で67%,著効と有効を足した有効率は69例/70例で99%であった。7日目判定では,著効53例,有効17例,無効0例で,著効率は53例/70例で76%,著効と有効を足した有効率は70例/70例で100%であった。原因菌がEscherichia coliであった症例が70例中58例(83%)で,そのうちE. coli単独分離例は53例であった。70症例,78株についての細菌学的効果(消失率)は3日目で92%(72株/78株),7日目で94%(73株/78株)であった。70例における排尿痛を主とした自覚症状に対する効果は,3日目判定では消失61例(87%),軽快8例(11%),不変1例(1%),正常化と軽快とを合わせた改善率(以下,改善率と略す)は99%であったのに対し,7日目判定では消失70例(100%),軽快0例(0%),不変0例(0%),改善率は100%であった。自覚症状に対する効果のみ,全体でも,消失率でも有意に7日目判定のほうが優れていたが,膿尿に対する効果,細菌尿に対する効果,総合臨床効果とも,3日目と7日目とで有意差は認められなかった。7日間投与で自覚症状は顕著に消失するものの,3日間投与で7日間投与に比し,客観的な成績に遜色はなかった。
今回の検討結果から,急性単純性膀胱炎に対しCFPN-PIで治療する場合,3日間投与で十分である可能性があり,今後検討する価値があると考えられる。
Key word
cefcapene pivoxil, acute uncomplicated cystitis, The UTI Criteria
別刷請求先
*兵庫県神戸市中央区楠町7-5-2
受付日
平成20年10月7日
受理日
平成21年5月19日
日化療会誌 57 (4): 304-310, 2009