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書誌情報

Vol.58 No.S-1 March 2010

原著・臨床

小児細菌感染症患者を対象としたtazobactam/piperacillin(配合比1:8製剤)の第III相試験

砂川 慶介1), 岩井 直一2), 尾内 一信3), 佐藤 吉壮4)

1)北里大学北里生命科学研究所特別研究部門
2)元 名鉄病院小児科
3)川崎医科大学小児科学
4)富士重工業健康保険組合総合太田病院小児科

要旨

 小児細菌感染症を対象にβ-lactamase阻害剤配合ペニシリン系抗生物質であるtazobactam/piperacillin[TAZ/PIPC(配合比1:8製剤)]112.5 mg/kgを1日2または3回投与し,有効性,安全性および薬物動態を評価した。
 投与終了時または中止時の本薬の有効率は全体で98.2%(54/55例)であり,疾患別では肺炎98.0%(49/50例),腎盂腎炎・複雑性膀胱炎5/5であり,成人と類似していた。また,菌消失率は全体で92.9%(65/70株)であり,そのうちβ-lactamase産生菌の消失率は100%(16/16株)であった。
 有害事象は66例中50例110件に発現し,発現率は75.8%(50/66例)であった。副作用は31例45件発現し,発現率は47.0%(31/66例)であった。主な副作用は下痢33.3%(22/66例),好中球数減少9.5%(2/21例),ALT増加9.1%(6/66例),AST増加9.1%(6/66例)であった。また,小児特有の有害事象は認められなかった。
 小児細菌感染症に1回112.5 mg/kgを投与することにより,成人に1回4.5 g,30分点滴静注した時と類似した薬物動態を示すことが確認でき,成人と同様の臨床効果が得られることを裏付ける結果と考えられた。
 以上,小児細菌感染症に対してTAZ/PIPC(1:8)112.5 mg/kgを1日2または3回投与することにより,高い臨床的有用性が期待できるものと考えられた。

Key word

tazobactam/piperacillin, child, PK-PD, clinical trial

別刷請求先

東京都港区白金5-9-1

受付日

平成21年6月30日

受理日

平成22年1月12日

日化療会誌 58 (S-1): 88-102, 2010