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書誌情報

Vol.58 No.6 November 2010

総説

新規カルバペネム系薬耐性因子,ニュー・デリー型メタロβラクタマーゼ(NDM-1)の特徴

石井 良和

東邦大学医学部微生物・感染症学講座

要旨

 2009年にYongらが,NDM-1(New Delhi metallo-beta-lactamase-1)と命名した新規メタロβラクタマーゼ(metallo-β-lactamase:MBL)について報告した。その後,NDM-1を産生する多剤耐性大腸菌あるいは肺炎桿菌は,米国や英国などで分離されたことから注意喚起が促されている。NDM-1は,他のMBLと同じようにモノバクタム系薬を除く多くのβラクタム系薬を分解する。blaNDM-1の特徴は,インド,バングラデシュ,パキスタンから帰国した人由来の腸内細菌科に属する大腸菌や肺炎桿菌から検出されることである。本邦でも栃木県の大学病院から本酵素産生大腸菌が埼玉県では本酵素産生肺炎桿菌がそれぞれ分離された。しかし,これまでにNDM-1産生菌に対する疫学調査や本酵素に関する基礎検討も十分になされているとは言えない。本稿では,現時点におけるNDM-1産生菌およびblaNDM-1の特徴について解説し,検出に際しての留意点についても言及してみたい。

Key word

β-lactamase, carbapenemase, NDM-1

別刷請求先

東京都大田区大森西5-21-16

受付日

平成22年9月13日

受理日

平成22年9月21日

日化療会誌 58 (6): 639-643, 2010