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書誌情報

Vol.58 No.6 November 2010

短報

2002年から2007年に分離された各種臨床分離株に対するpazufloxacinの抗菌活性

杉浦 陽子, 二口 直子, 久田 晴美, 伊東 優子, 長谷川 香子, 古家 由理, 新村 裕子, 板谷 和也, 中谷 雅年, 福田 淑子, 野村 伸彦, 満山 順一

富山化学工業株式会社綜合研究所

要旨

 本邦において2002~2007年に分離された臨床株に対するpazufloxacin(PZFX)のin vitro抗菌活性を測定し,既報の2001年以前分離株における成績と比較した。2002~2007年に分離されたグラム陽性および陰性菌に対するPZFXのMIC90はそれぞれ3.13~>100 μg/mLおよび0.025~50 μg/mLで,ciprofloxacin(CPFX)と概ね同程度であった。Escherichia coliに対するPZFXのMIC90(12.5 μg/mL)は2001年以前に分離された株における成績に比べCPFXと同様に上昇したが,その他の肺炎および敗血症の主要原因菌種に対するMIC90には大きな変化はみられなかった。肺炎および敗血症におけるPZFX 1,000 mg×2回/日投与時の臨床的ブレイクポイントの理論値はそれぞれ4および1 μg/mLで,肺炎の主要原因菌種であるStreptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzaeおよびMoraxella catarrhalisの98.7%以上が,敗血症の主要原因菌種であるStaphylococcus aureus, E. coli, Citrobacter freundii, Enterobacter cloacae, Klebsiella pneumoniaeおよびPseudomonas aeruginosaの83.1%が,それぞれ感受性であった。以上,PZFXは2002~2007年分離株に対して良好な抗菌活性を示した。2001年以前分離株に比べて,肺炎および敗血症の主要原因菌種の一部においてキノロン系薬に耐性を示す株の増加が認められたものの,PZFXの抗菌活性に著しい低下は認められなかった。

Key word

pazufloxacin, MIC

別刷請求先

富山県富山市下奥井2-4-1

受付日

平成22年8月2日

受理日

平成22年9月1日

日化療会誌 58 (6): 681-687, 2010