Vol.59 No.3 May 2011
原著・臨床
進行・再発大腸がんに対するS-1+Oxaliplatin+Bevacizumab併用療法の使用経験
社会福祉法人 仁生社江戸川病院腫瘍血液内科*
要旨
進行・再発大腸がんに対するkey drugとしてS-1, oxaliplatin, bevacizumabは汎用されているが,3薬剤併用S-1+oxaliplatin+bevacizumab(以下,SOX+BV)療法の安全性を検討した報告は現在のところない。われわれは,進行・再発大腸がん16例に対して,SOX+BV療法の安全性を検討した。投与方法は,bevacizumab:7.5 mg/kg, oxaliplatin:130 mg/m2を第1日目に点滴静注し,S-1:80 mg/m2を14日間の内服投与後,7日間休薬するスケジュールとした。結果:16例を評価対象とした。治療成績は,PRが14例,SDが2例で,奏効率は87.5%(14例/16例)で,腫瘍制御率は100%(16例/16例)であった。副作用では,bevacizumabに起因すると思われる高血圧症を8例,腸管ストーマ部漏出を1例に,ポート挿入部の創し開を各1例ずつに認めた。またS-1に起因すると思われる下痢を5例に認めたが,コントロール可能であった。考察:今回の結果からSOX+BV療法は,mFOLFOX6+BV療法と比較しても奏効率,腫瘍制御率とも遜色なく副作用も寛容で,なおかつ安価であり外来治療の有効な治療選択肢の一つであると考えられた。今後は無増悪生存期間,全生存期間やQOLを含め検討して行く必要があると考えられた。
Key word
bevacizumab, S-1, oxaliplatin, advanced colorectal cancer
別刷請求先
*東京都江戸川区東小岩2-24-18
受付日
平成23年3月3日
受理日
平成23年4月18日
日化療会誌 59 (3): 302-307, 2011