Vol.59 No.3 May 2011
短報
男子淋菌性尿道炎由来淋菌の各種抗菌薬に対する感受性―2006~2010年分離株の比較―
1)JR東京総合病院泌尿器科*
2)富士市立富士中央病院
3)東京慈恵会医科大学附属青戸病院泌尿器科
4)佼成病院泌尿器科
5)細部医院
6)東京慈恵会医科大学附属第三病院泌尿器科
要旨
2006年より2010年までに東京慈恵会医科大学附属病院ならびに首都圏の関連病院にて男子淋菌性尿道炎患者から分離された淋菌156株(2006年47株,2007年23株,2008年18株,2009年38株,2010年30株)の各種薬剤に対する薬剤感受性を調査し,その動向を検討した。
対象薬剤はpenicillin G(PCG),clavulanic acid/amoxicillin(CVA/AMPC),cefixime(CFIX),cefteram(CFTM),ceftriaxone(CTRX),cefodizime(CDZM),aztreonam(AZT),spectinomycin(SPCM),tetracycline(TC),azithromycin(AZM)およびlevofloxacin(LVFX)の11薬剤とし,β-ラクタマーゼの有無も合わせて測定した。
その結果,PCG,CVA/AMPC,CFTM,AZT,TC,LVFXの淋菌に対するMICはこの5年間で高値を示し感受性率は上昇していなかった。CFIXのMIC50およびMIC90は,2006年ではそれぞれ0.06 μg/mL,0.12 μg/mLであったのが,2010年ではともに0.25 μg/mLと上昇しており,低感受性化がさらに強まっていた。
また,推奨薬であるCTRXとCZDMに対してもMIC90はbreakpoint以下であるもののMIC50はMIC90に近づきつつあり,淋菌はこれらの薬剤に対して耐性化しつつあると考えられた。
Key word
Neisseria gonorrhoeae, male urethritis, drug susceptibility
別刷請求先
*東京都渋谷区代々木2-1-3
受付日
平成23年3月24日
受理日
平成23年4月7日
日化療会誌 59 (3): 308-312, 2011