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書誌情報

Vol.59 No.S-1 May 2011

原著・臨床

健康成人男性を対象としたlevofloxacin注射剤の第I相臨床試験

柴 孝也1), 深瀬 広幸2)

1)東京慈恵会医科大学
2)財団法人 メディポリス医学研究財団シーピーシークリニック

要旨

 日本人健康成人男性を対象にキノロン系薬であるlevofloxacin(LVFX)注射剤を単回または1日1回7日間反復点滴静注し,薬物動態および安全性を検討した。LVFXの投与量(点滴時間)は,単回投与試験では,250 mg(60分),500 mg(60分),750 mg(60分,90分),1,000 mg(120分)とし,反復投与試験では,500 mg(60分),750 mg(90分)とした。
 LVFX 500 mg単回点滴静注時のCmaxは9.79 μg/mL,AUC0-infは52.09 μg・h/mL,t1/2は8.05時間であった。LVFX 250 mg,500 mg,750 mgを60分間で単回点滴静注すると,Cmaxは投与量に比例して増加し,AUC0-72hは投与量比を超えて増加した。投与72時間後までのLVFX累積尿中排泄率は,投与量によらず83.5~96.7%とほぼ一定であり,投与した薬剤の大部分は未変化体として尿中に排泄された。LVFX 500 mg 1日1回反復点滴静注時の投与7日目の薬物動態パラメータは,Cmaxが9.97 μg/mL,AUC0-24hが54.11 μg・h/mL,t1/2が9.03時間であった。反復投与2日目から7日目の投与直前の血漿中LVFX濃度は,投与回数によらずほぼ一定に推移し,蓄積性は認められなかった。
 単回投与試験および反復投与試験で臨床的に問題となる有害事象は認められず,LVFX 1,000 mgまでの単回点滴静注および,750 mg 1日1回7日間反復点滴静注までの忍容性が確認された。

Key word

levofloxacin, injection, phase I study, pharmacokinetics

別刷請求先

東京都港区西新橋3-25-8

受付日

平成22年11月10日

受理日

平成23年2月23日

日化療会誌 59 (S-1): 1-9, 2011