Vol.59 No.S-1 May 2011
原著・臨床
市中肺炎におけるlevofloxacin注射剤のceftriaxone sodiumを対照とした第III相比較試験
1)長崎大学病院*
2)東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門
3)社会福祉法人 新潟市社会事業協会信楽園病院内科
4)昭和大学医学部臨床感染症学講座
5)大分大学医学部総合内科学第二講座
6)琉球大学医学部感染病態制御学講座
7)長崎大学病院検査部
8)東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座感染制御・検査診断学分野
9)東京慈恵会医科大学薬理学講座
(現 同 大学感染制御部)
要旨
成人の非定型病原体を除く細菌性市中肺炎に対するlevofloxacin(LVFX)注射剤の有効性,安全性を検討する目的で,ceftriaxone(CTRX)注射剤を対照薬として,多施設共同,無作為化(中央登録方式), オープンラベル,非劣性検証試験を実施した。用法・用量および投与期間は,LVFX群は1回500 mg 1日1回,CTRX群は1回1 g 1日2回点滴静注,投与期間は7~14日間とした。
臨床効果:投与終了・中止時の有効率は,LVFX群で88.5%(92/104例),CTRX群で88.8%(79/89例),群間差は-0.3%(95%信頼区間:-9.3~8.7)であり,LVFXのCTRXに対する非劣性が検証された。
細菌学的効果:投与終了・中止時の陰性化率はLVFX群で96.7%(59/61例),CTRX群で97.8%(44/45例),群間差は-1.1%(95%信頼区間:-7.3~5.1)であった。
安全性:副作用発現率は,LVFX群で53.7%(73/136例),CTRX群で56.9%(70/123例)であり,群間差は-3.2%(95%信頼区間:-15.4~8.9)であった。
以上のことから,LVFX注射剤は,非定型病原体を除く細菌性市中肺炎に対して1回500 mg 1日1回投与でCTRX 1回1 g 1日2回投与と同様に十分な治療効果ならびに安全性の高い薬剤であることが確認された。
Key word
levofloxacin injection, community-acquired pneumonia, randomized-controlled trial
別刷請求先
*長崎県長崎市坂本1-7-1
受付日
平成22年11月10日
受理日
平成23年3月8日
日化療会誌 59 (S-1): 32-45, 2011