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書誌情報

Vol.59 No.6 November 2011

短報

経尿道的内視鏡手術の周術期抗菌薬予防投与の現状

石川 清仁1, 2), 丸山 高広1), 佐々木 ひと美1), 日下 守1), 白木 良一1), 星長 清隆1), 松本 哲朗2)

1)藤田保健衛生大学腎泌尿器外科
2)日本泌尿器科学会術後感染予防ガイドライン作成委員会

要旨

 泌尿器科領域における経尿道的内視鏡手術時の抗菌薬予防投与は,術後の有熱性尿路感染症や尿路原性敗血症の発症頻度を有意に低下させ,重要と考えられている。日本泌尿器科学会では独自の術後感染予防ガイドライン作成を目的にワーキンググループを構成し,2006年に「泌尿器科領域における周術期感染予防ガイドライン」を発表した。発表後5年目を迎え,その妥当性を検討するため,経尿道的内視鏡手術の周術期に投与されている抗菌薬とガイドライン推奨薬との一致率や術後感染症発生頻度につきアンケート調査を行った。
 前立腺切除術については,泌尿器科専門の100施設にアンケートを送付し,75施設から回答を得た。ガイドラインとの一致率は79.6%であった。ガイドラインに沿った投与法を行っている施設のうち92.3%の施設では,術後感染症発生頻度が5%以下であった。膀胱腫瘍切除術では114施設にアンケートを送付し,89施設から回答を得た。ガイドラインとの一致率は77.6%で,ガイドラインに沿った投与法を行っている施設のうち95.4%の施設では,術後感染症発生頻度が5%以下であった。
 1995年のアンケート調査結果では,7日間以上抗菌薬を投与しても約5%の頻度で術後有熱性感染症が発症していた。その結果から,周術期抗菌薬予防投与により術後感染症の発生率を5%以下に下げることができれば,妥当な投与法と考えてもよいと思われる。今回のアンケート結果からガイドラインが推奨する経尿道的内視鏡手術時の周術期抗菌薬投与法の妥当性が示唆された。

Key word

urological surgery, transurethral resection, perioperative infection, antimicrobial prophylaxis

別刷請求先

愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1-98

受付日

平成23年2月16日

受理日

平成23年7月20日

日化療会誌 59 (6): 605-609, 2011