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書誌情報

Vol.59 No.6 November 2011

市販後調査報告

Levofloxacin 500 mg 1日1回投与の安全性・有効性

堀 誠治1), 内納 和浩2), 山口 広貴2), 松本 卓之2), 畔柳 肇子2), 吉田 早苗2), 高橋 周美2), 児玉 浩子2), 濱島 里子2), 米持 理恵3), 小林 史明4), 山之内 直樹4), 鈴木 正道3), 塩澤 友男2), 山口 文恵2)

1)東京慈恵会医科大学感染制御科
2)第一三共株式会社学術調査部
3)同 安全性情報部
4)同 データサイエンス部

要旨

 Levofloxacin(LVFX)は2009年4月にPK-PD理論に基づく投与法として500 mg 1日1回投与が承認され,2009年10月から2010年9月にかけてLVFX錠・細粒500 mg 1日1回投与による使用成績調査を実施した。全国4,547施設の医療機関から32,200例の調査票を収集し,安全性は29,880例,有効性は28,800例で検討した。
 副作用発現率は1.61%であり,主な副作用は下痢,悪心等の胃腸障害0.64%,AST増加,ALT増加等の臨床検査値異常0.31%,発疹,薬疹等の皮膚および皮下組織障害0.19%,浮動性めまい等の神経系障害0.17%で,副作用の種類,発現頻度はLVFX 1回100 mg 1日2~3回投与時と大きく変わるものではなかった。
 本薬剤と併用注意となっているフェニル酢酸系・プロピオン酸系非ステロイド性抗炎症薬は13.7%で併用されたが,併用による中枢神経系副作用発現率の上昇は認められなかった。
 腎機能低下患者(Ccr<50 mL/min)において,添付文書に示されている用法・用量で調節した場合,用量依存的と考えられる中枢神経系副作用は認められなかったが,用法・用量を調節せず,500 mg 1日1回連日投与されていた症例に,痙攣等の中枢神経系副作用が認められた。また,用法・用量を調節した場合でも85%を超える有効率を確保していた。
 有効率は全体で96.0%であり,感染症領域別には,呼吸器感染症96.3%,尿路・性器感染症95.7%,耳鼻科領域94.7%,皮膚科領域96.8%,腸管感染症97.6%,外科・整形外科領域96.3%,産婦人科領域96.1%,歯科・口腔外科領域95.8%,胆道感染症93.8%,眼科領域96.9%であった。
 以上より,LVFX 500 mg 1日1回投与の安全性は,LVFX 1回100 mg 1日2~3回投与と同程度であり,有効性は,全体で96.0%,各感染症領域においてもいずれも90%以上の有効率であった。さらに腎機能障害を有する患者では,添付文書に示された腎機能に応じた用法・用量の調節の妥当性が安全性,有効性から確認された。

Key word

levofloxacin, safety, efficacy, postmarketing surveillance

別刷請求先

東京都港区西新橋3-25-8

受付日

平成23年7月28日

受理日

平成23年8月29日

日化療会誌 59 (6): 614-633, 2011