Vol.60 No.3 May 2012
症例報告
Liposomal amphotericin B長期投与時の血清濃度を追跡した血液透析患者の1例
1)特定医療法人 仁真会白鷺病院薬剤科*
2)同 診療部
3)同志社女子大学薬学部臨床薬剤学研究室
要旨
69歳男性の血液透析(hemodialysis;HD)患者に発現したCryptococcus感染症に対し,liposomal amphotericin B(L-AMB)による治療を行い,血清amphotericin B(AMPH-B)濃度を測定した。L-AMBの維持投与量を250 mg/日に設定し,約8カ月間継続投与したところ,Cryptococcus感染症の改善を認め,治療期間をとおして投与時関連反応を含め副作用は認めなかった。血清AMPH-B濃度は定常状態に13日以内に到達し,連日投与時の平均血清トラフ濃度は55.3 mg/L(SD 8.0,n=12)であった。L-AMBをHD中に投与しても血清AMPH-B濃度の低下を認めなかった。血清AMPH-B濃度は血清CRP値上昇時に低下する傾向を認めた。本症例では,高用量L-AMBによる治療はCryptococcus感染症に対して効果があり,忍容性は高かった。
Key word
liposomal amphotericin B, PK-PD, hemodialysis, Cryptococcus infection
別刷請求先
*大阪府大阪市東住吉区杭全7-11-23
受付日
平成24年1月30日
受理日
平成24年3月19日
日化療会誌 60 (3): 342-346, 2012