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書誌情報

Vol.61 No.4 July 2013

原著・基礎

日本人健康成人におけるatovaquone内用懸濁液およびatovaquone/proguanil塩酸塩配合錠の薬物動態の検討

井野 比呂子1), 高橋 直樹1), 土井 洋平1), 橋本 浩史2), 平間 敏靖1)

1)グラクソ・スミスクライン株式会社医薬品開発部門
2)同 バイオメディカルデータサイエンス部

要旨

 日本人におけるatovaquone内用懸濁液およびatovaquone/proguanil塩酸塩配合錠投与時の薬物動態の検討を目的として,被験者30例を各群10例に分け,atovaquone内用懸濁液投与群ではatovaquoneとして750 mgまたは1,500 mgを,atovaquone/proguanil塩酸塩配合錠投与群ではatovaquoneとして1,000 mgおよびproguanil塩酸塩として400 mgを食後単回経口投与した。経時的にatovaquone, proguanilおよびproguanilの代謝物であるcycloguanilの血漿中濃度を測定した。また,配合錠投与群では,被験者のCYP2C19遺伝子型ごとの薬物動態もあわせて検討した。
 Atovaquone 750 mgまたは1,500 mgを食後単回経口投与した時,血漿中濃度は投与後4時間にそれぞれCmax 14.0および15.7 μg/mLに達した。AUCtは,それぞれ901.4および1,076.9 μg・hr/mLと,曝露量に用量比例性は認められなかった。T1/2は約60~70時間であり,消失は比較的緩やかであった。Atovaquone 1,000 mgおよびproguanil塩酸塩400 mgを配合錠として食後単回経口投与した時,atovaquoneおよびproguanilはともに投与後3時間にCmax 7.3 μg/mLおよび364.5 ng/mLに達した。また,Atovaquoneは約70時間,proguanilは18時間のT1/2で消失した。Cycloguanilは,投与1時間後から血漿中に検出され,Cmax 86.0 ng/mLに達した後,18.6時間のT1/2で消失した。CYP2C19のPM型では,他の型に比べproguanilのAUCtが高く,cycloguanilのAUCtは低い傾向を示した。有害事象としては,4例にALTおよびASTの増加,1例に薬疹が認められたがいずれも軽度であった。
 Atovaquone内用懸濁液およびatovaquone/proguanil塩酸塩配合錠は,国内での使用経験はあるものの,これまでに日本人での薬物動態成績は得られておらず,本治験で得られた結果は本邦で両薬剤を使用するにあたり有用な情報を提供するものと考えられる。

Key word

atovaquone, proguanil HCl, pharmacokinetics

別刷請求先

東京都渋谷区千駄ヶ谷4-6-15

受付日

平成25年2月19日

受理日

平成25年5月17日

日化療会誌 61 (4): 335-342, 2013