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書誌情報

Vol.61 No.5 September 2013

原著・臨床

入院治療を要した小児の肺炎におけるtazobactam/piperacillinの臨床的有効性に関する検討

齋藤 亜紀1), 稲村 憲一1), 西澤 陽子1), 加藤 敦1), 近藤 英輔1), 寺西 英人1), 若林 時生1), 赤池 洋人1), 河合 泰宏2), 田中 孝明2), 荻田 聡子1), 川崎 浩三1), 寺田 喜平1), 中野 貴司2), 宮下 修行3), 二宮 洋子4), 尾内 一信1)

1)川崎医科大学附属病院小児科
2)川崎医科大学附属川崎病院小児科
3)同 内科
4)川崎医科大学附属病院薬剤部

要旨

 入院治療を要した小児肺炎症例において,β-ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬であるtazobactam/piperacillin(TAZ/PIPC)の臨床的有効性と安全性を後方視的に検討した。
 抗菌薬投与後から解熱までの時間は,TAZ/PIPC投与群は10.2±6.7時間,piperacillin(PIPC)投与群は20.2±20.2時間(p=0.02),sulbactam/ampicillin(SBT/ABPC)投与群は23.3±19.9時間(p=0.004),ceftriaxone(CTRX)投与群は27.4±20.9時間(p=0.001)であり,他の薬剤と比べてTAZ/PIPC投与群が解熱までの時間が有意に短かった。
 有害事象に関しては,下痢が出現した症例はTAZ/PIPC投与群が21.1%(4/19例),PIPC投与群が25.8%(8/31例),SBT/ABPC投与群が29.6%(8/27例)であり,CTRX投与群が31.3%(5/16例)であり,差はなかった。
 以上より,TAZ/PIPCは入院治療を要した小児の肺炎症例において,解熱までの時間を有意に短縮でき,かつ有害事象は他の薬剤と差はなく安全な薬剤であり,さらなる重症化が予測される基礎疾患を有する小児の肺炎症例に有用であると考えられた。

Key word

child, pneumonia, tazobactam/piperacillin

別刷請求先

岡山県倉敷市松島577

受付日

平成25年2月21日

受理日

平成25年6月5日

日化療会誌 61 (5): 421-426, 2013