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書誌情報

Vol.61 No.5 September 2013

短報

当院におけるメロペネム大量投与の有効性と安全性に関する症例集積

中村 正樹1, 2), 高山 陽子2), 近藤 留美子3), 中崎 信彦4), 二本柳 伸4), 佐藤 千恵5), 角田 裕子6), 藤木 くに子2), 高城 由美子2), 平田 泰良2), 花木 秀明7), 砂川 慶介2, 8)

1)北里大学医学部臨床検査診断学
2)北里大学病院感染管理室
3)同 薬剤部
4)同 臨床検査部
5)北里大学医学部救命救急医学
6)同 輸血細胞移植学
(現 福島県立医科大学輸血移植免疫学講座)
7)北里生命科学研究所抗感染症薬研究センター
8)北里大学感染制御研究機構

要旨

 Meropenem(MEPM)は重症・難治性感染症を中心に使用されているが,日本国内における承認用量は最大3 gまでと諸外国に比べて少ない。日本国内においても化膿性髄膜炎などの重症・難治性感染症に対しては組織移行を考慮するとMEPMを1日6 g投与する必要性があると考えられている。そこで今回,北里大学病院において2009年1月から2010年12月までに髄膜炎の診断でMEPMが1日6 g投与されていた症例のうち,髄液から原因菌が分離され細菌性髄膜炎と確定した症例を対象として,患者背景,有効性,安全性に関して後ろ向きに調査を行った。
 その結果,対象は9症例で投与期間の平均日数は21.4日であった。髄液から分離された原因菌はすべての症例で14日以内に消失を認めた。副作用として肝機能障害を認めたが,いずれも軽度から中等度であった。また,痙攣等の重篤な副作用は認められなかった。
 細菌性髄膜炎の診療ガイドラインに従いMEPMが1日6 g投与されている症例は近年増加してきているが,本邦における有効性と安全性に関するエビデンスは未だ少ないのが現状である。今回,対象となった症例に関しては有効性および安全性に概ね問題なく治療が行われていたが,今後,MEPMの高用量投与に関するさらなる検討が必要であると考えられる。

Key word

meropenem, high dose therapy, safety, effectiveness

別刷請求先

神奈川県相模原市南区北里1-15-1

受付日

平成24年8月23日

受理日

平成25年7月8日

日化療会誌 61 (5): 435-438, 2013