Vol.63 No.1 January 2015
短報
小児におけるteicoplaninの4回負荷投与法の評価
広島大学病院薬剤部*
要旨
Teicoplanin(TEIC)は有効血中濃度の早期確保のため負荷投与が行われるが,小児での妥当な負荷投与法に関する報告は少ない。2008年から2013年までに広島大学病院(当院)入院下でTEIC投与を受けた小児(0~15歳)のうち,投与開始翌日までに3~4回の投与を受け,1回投与量の変更なく投与4~5日目の投与前に初回血中濃度測定を行った24例を対象とし,TEIC開始日から翌日までの投与回数の違いによる血中濃度への影響および安全性について評価した。4回投与群(n=8)と3回投与群(n=16)では,1回投与量に群間差はなかったが(9.7±1.3 mg/kg vs 10.3±1.5 mg/kg, p=0.273),4~5日目の投与前血中濃度が10 μg/mLに到達した割合が4回投与群で有意に高かった(87.5% vs 37.5%,p=0.027)。15 μg/mLに到達した割合には差がなかった(37.5% vs 31.3%,p=0.779)。肝機能障害は両群で既報よりも頻度が高かったものの群間差はなく,腎機能障害例はなかった。血中濃度と1回投与量,TEIC開始時のALB,血清Cr, eGFRには特に有意な相関はみられなかった。小児のTEICの標準的負荷投与(10 mg/kg 3回)は有効濃度確保の観点から不十分で,負荷投与を4回に増やすことの有用性が示された。目標濃度を15 μg/mL以上とした場合は未だ用量不足であり,より高用量での投与設計について検討が必要と考えられる。
Key word
teicoplanin, pediatric, therapeutic drug monitoring, loading dose
別刷請求先
*広島県広島市南区霞1-2-3
受付日
平成26年4月18日
受理日
平成26年12月1日
日化療会誌 63 (1): 7-10, 2015