Vol.63 No.6 November 2015
総説
肺炎の診断と治療に関する研究と標準化―ガイドラインを活用したより良い肺炎診療を目指して―
国立大学法人長崎大学理事・副学長, 長崎大学病院第二内科名誉教授*
要旨
長崎大学医学部第二内科で教授として約19年間,臨床医学の研究,教育,診療に従事し,同時期に肺炎診療ガイドラインに関する仕事にも携わることができた。初版の市中肺炎診療ガイドライン,院内肺炎診療ガイドラインが作成された時期はエビデンスがまだ十分ではなかったが,第二版ではそれまでに蓄積されたデータを基に新しい重症度分類を提唱した。さらに,最近の超高齢社会による高齢者肺炎の問題を受けて,市中肺炎や院内肺炎に分類しがたい介護施設入所者や医療ケアを受けている患者に発症する肺炎を医療・介護関連肺炎として新たに定義し,重症度のみによらない肺炎の治療指針として治療区分を提唱した。
今後も肺炎診療ガイドラインは進化が必要であり,患者,社会,医療従事者にとって有益となる肺炎診療ガイドラインの作成に,微力ながら貢献できれば幸いである。
Key word
pneumonia, guidelines
別刷請求先
*長崎県長崎市坂本1-7-1
受付日
平成27年5月28日
受理日
平成27年10月20日
日化療会誌 63 (6): 535-539, 2015