Vol.64 No.1 January 2016
原著・臨床
2001年から2015年までの小児呼吸器感染症患者から分離されたStreptococcus pneumoniaeとHaemophilus influenzaeにおける抗菌薬感受性およびpenicillin-binding-protein遺伝子変異の変動
旭川厚生病院小児科*
要旨
2001年から2015年まで,毎年2月からの1~2カ月間に当院で診療した,呼吸器感染症の小児の臨床材料から分離された,Streptococcus pneumoniaeとHaemophilus influenzaeのそれぞれ20~35株ずつについて耐性株の検出率を調査した。2001年から2015年までの15年間を5年ごとに前・中・後の3期に分けて変動を検討した。Penicillin-binding-protein(PBP)遺伝子変異による分類を行うとともに,S. pneumoniaeはpenicillin G,H. influenzaeはampicillinに対する抗菌薬感受性分類も行った。S. pneumoniaeは感受性分類では前期と中期の分離株を比較すると,ペニシリン感受性株(PSSP)の割合が増加(p<0.001)した。耐性遺伝子による分類ではほとんど変動を認めず,感受性分類で増加していたPSSPはpbp2x変異を有するgPISPであった。H. influenzaeは感受性分類ではβ-lactamase非産生性ABPC感受性株(BLNAS)は前期と中期で減少(p<0.001),β-lactamase産生性ABPC耐性株(BLPAR)は前期と後期の間で有意に増加(p<0.05)した。耐性遺伝子分類でもgBLNASは前期と中期の間で減少(p<0.001),gBLNARは前期と中期の間で増加(p<0.001)していた。感受性分類で増加していたBLPARはgBLPACR-2であった。
Key word
Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, drug-resistance, penicillin-binding-protein, respiratory infection
別刷請求先
*北海道旭川市1条通24丁目
受付日
平成27年8月21日
受理日
平成27年10月16日
日化療会誌 64 (1): 76-81, 2016