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書誌情報

Vol.64 No.3 May 2016

原著・臨床

産婦人科領域におけるクラミジア感染症の治療成績について

岩破 一博1), 岩破 康二2), 北脇 城3)

1)京都府立医科大学医学部看護学科医学講座産婦人科学
2)岩破医院
3)京都府立医科大学大学院女性生涯医科学

要旨

 JAID/JSC感染症治療ガイド2014および性感染症学会ガイドライン2011に示されている産婦人科領域でのChlamydia trachomatis(CT)感染症に対する推奨治療法の有効性を検討した。妊婦CTスクリーニングで陽性妊婦2,299例では,388例にacetylspiramycin(ASPM)1,200 mg/dayを14日,209例にerythromycin(EM)1,200 mg/dayを14日間,129例にclarithromycin(CAM)400 mg/dayを14日間,そして1,519例にazithromycin(AZM)1,000 mgを単回投与し,2~3週間後に治癒判定を行った。CT子宮頸管炎68例とCT咽頭炎24例ではlevofloxacin(LVFX)500 mg/dayを7日間投与し,21日後PCR検査を行った。さらに,CT直腸炎では30例にAZM 2,000 mgを単回投与,9例にsitafloxacin(STFX)100 mg/dayを7日間投与し21日後に治癒判定を行った。
 妊婦での除菌率は,ASPM投与群で96.5%(375/388),EM投与群で99%(207/209),CAM投与群で96.1%(124/129),AZM投与群で99.6%(1,513/1,519)と高い除菌率を示した。また,陽性者に対し治療することにより母児感染は認めなかった。CT子宮頸管炎に対するLVFXの除菌率は93.2%(55/59),CT咽頭炎に対するLVFXの除菌率は95.8%(23/24)と高い除菌率であった。CT直腸炎に対するAZMの除菌率は86.7%(26/30)と,AZMの直腸への薬剤の移行性がよいにもかかわらず,子宮頸管炎に比べ低い除菌率であった。これに対し,CT直腸炎に対するSTFXの除菌率は100%(7/7)であった。以上より,婦人科領域でこれらのガイドラインで推奨されるCT感染症の治療法に関しては,CT直腸炎以外では,ほぼ満足できる結果であった。

Key word

Chlamydia trachomatis infection, obstetrics and gynecology

別刷請求先

京都府京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465番地

受付日

平成27年12月4日

受理日

平成28年1月5日

日化療会誌 64 (3): 518-523, 2016