Vol.64 No.3 May 2016
原著・臨床
血液内科病棟薬剤師による抗菌薬適正使用への介入効果
NTT東日本関東病院薬剤部*
要旨
抗菌薬の適正使用は,院内感染対策の重要な課題であり,耐性菌の出現等を防止するためにも重要である。そこで,抗菌薬使用量の多い血液内科病棟において抗菌薬使用密度(antimicrobial use density:AUD)を用いて抗菌薬使用量を把握し,院内検出菌の薬剤感受性からアンチバイオグラム作成を行い,AUDの推移と使用抗菌薬の変化について比較検討した。
血液内科病棟のAUDは,全診療科のAUDに比較し高値であったが,薬剤師の介入により623.2から354.2と減少が認められた。系統別AUDでは,第4世代セフェム系やカルバペネム系の使用量が高値であったが病棟薬剤師配置後,カルバペネム系は233.7から96.5へ有意に減少した。
血液内科病棟のアンチバイオグラムは,全診療科に比較し耐性率が高く,特にPseudomonas aeruginosaの薬剤感受性は,全診療科でのimipenem(IPM)の耐性率11%,meropenem(MEPM)の耐性率7%に比較し血液内科病棟での耐性率はIPM耐性34%,MEPM耐性31%と高値であり,アンチバイオグラムに基づいた慎重な薬剤選択の必要性が示唆された。
Key word
antimicrobial use density, antibiogram, hematology, clinical pharmacist
別刷請求先
*東京都品川区東五反田5-9-22
受付日
平成27年11月24日
受理日
平成28年1月14日
日化療会誌 64 (3): 524-529, 2016