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書誌情報

Vol.65 No.4 July 2017

原著・基礎

Tosufloxacinの小児由来臨床分離Mycoplasma pneumoniaeに対するin vitroおよびin vivo抗菌活性

帰山 誠1), 大西 由美2), 古家 由理2), 工藤 奈都1), 交久瀬 善隆1)

1)富山化学工業株式会社
2)富山化学工業株式会社綜合研究所

要旨

 キノロン系薬であるtosufloxacin(TFLX)の小児由来臨床分離Mycoplasma pneumoniaeに対する抗菌活性,殺菌作用,自然耐性菌出現頻度およびマウス肺感染モデルにおける有効性について検討した。
 小児由来臨床分離マクロライド感性および耐性M. pneumoniaeに対するTFLXのMIC90は,それぞれ0.25 μg/mLであった。マクロライド耐性M. pneumoniaeに対するTFLXのMIC90はtetracycline,doxycycline,minocycline,clindamycin,erythromycin,clarithromycin(CAM)およびazithromycin(AZM)のMIC90と比較して,それぞれ1/2,1/2,1/8,1/512,<1/512,<1/512および1/256であり,測定した薬剤のなかで最も低かった。
 殺菌作用の検討では,マクロライド感性および耐性M. pneumoniaeに対して,TFLXは2 MIC以上で薬剤作用開始時より3 log CFU/mL以上の生菌数を減少させ,殺菌性を示した。
 TFLXに対するマクロライド感性および耐性M. pneumoniaeの自然耐性菌出現頻度は,4 MIC以上でそれぞれ<1.5×10-10および<9.3×10-10であった。CAMおよびAZMに対する自然耐性菌出現頻度は7.6×10-10~7.8×10-9と低かったが,試験したすべての濃度で耐性菌が出現した。
 マクロライド耐性株を用いたマウス肺感染モデルにおいて,TFLX投与群はCAMおよびAZM投与群に比べて有意にBALF中生菌数を減少させた(P<0.001)。
 以上,TFLXはM. pneumoniaeに対し,強い抗菌活性および殺菌性,低い耐性菌出現頻度を示し,マクロライド耐性株を用いたマウス肺感染モデルにおいて治療効果を示した。

Key word

Mycoplasma pneumoniae, tosufloxacin, antimicrobial activity

別刷請求先

東京都新宿区西新宿3-2-5

受付日

平成29年1月19日

受理日

平成29年3月29日

日化療会誌 65 (4): 577-584, 2017