Vol.65 No.4 July 2017
短報
中等度肝機能障害患者におけるカスポファンギンの安全性に関する検討
1)大垣市民病院薬剤部*
2)岐阜薬科大学病院薬学研究室
要旨
キャンディン系抗真菌薬であるカスポファンギン(CPFG)は,抗真菌薬のなかでも高い安全性が報告されている。一方,主な副作用は肝機能障害に関連するものであり,添付文書ではChild-Pughスコア7~9点の中等度肝機能障害症例(B群)には2日目以降の投与量35 mgを目安に用量調整することとしている。しかし,肝機能障害症例におけるCPFGの安全性について検討した報告は少ない。そのため,B群における肝機能障害を中心とした安全性について検討した。
Child-Pugh分類が評価可能であった98例を対象とした。A群65.3%,B群34.7%であり,1例を除きすべての症例においてCPFGの2日目以降の投与量は50 mgであった。A群とB群の2群間における副作用の発現率を比較したところ,AST増加,ALT増加,ALP増加において,B群で有意に発現率が高かった(p<0.05)。
以上より,安全性の観点から投与開始時はChild-Pughスコアを評価し,用量について慎重に検討することが必要であると思われた。
Key word
caspofungin acetate, side effect, liver dysfunction
別刷請求先
*岐阜県大垣市南頬町4-86
受付日
平成28年6月6日
受理日
平成29年2月8日
日化療会誌 65 (4): 597-601, 2017