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書誌情報

Vol.65 No.5 September 2017

原著・臨床

血液培養陽性患者に対する抗菌薬適正使用支援プログラムに基づく早期介入のアウトカム評価―後ろ向き準実験的研究―

前田 真之1), 詫間 隆博2), 内藤 結花3), 宇賀神 和久4), 寺田 真悠子1), 小司 久志2), 関 はるか1, 5), 石野 敬子1), 二木 芳人2)

1)昭和大学薬学部臨床薬学講座感染制御薬学部門
2)昭和大学医学部内科学講座臨床感染症学部門
3)昭和大学病院薬局
4)同 細菌検査室
5)昭和大学薬学部病院薬剤学講座

要旨

 抗菌薬適正使用支援チーム(antimicrobial stewardship team;AST)は,患者個別の感染症治療の適正化を推進するために重要な役割を果たしている。昭和大学病院では2013年よりASTを設置し,血液培養陽性患者に対してのラウンドを開始した。われわれは先行研究で,週1回のASTラウンドにより,血流感染症患者の不適切治療を減少させるが,患者予後には差がみられなかったことを報告した。2015年よりASTのラウンドに加えて感染症専門医による連日の先行ラウンドを実施したため,患者予後にどのような影響を与えたかを検討した。ラウンド前群,週1回ラウンド群,連日ラウンド群について,患者の基礎疾患,重症度を調査した。週1回ラウンド群と連日ラウンド群についてはプロペンシティスコアマッチングにて患者背景,重症度の補正を行ったうえで,患者予後と入院日数を比較した。その結果,連日ラウンド群では死亡リスクが有意に低かった(22.6% vs. 14.3%,P=0.016,odds ratio,0.57;95% confidence interval,0.36-0.90)。入院日数の中央値については両群で有意な差はみられなかった(28日vs. 22日;P=0.053)。血液培養陽性患者に対し,週1回のASTラウンドに加え感染症専門医が連日のラウンドを行うことにより,適切な感染症治療に関する助言が実施され,患者の予後が改善することが示された。

Key word

antimicrobial stewardship, bloodstream infection, mortality, rapid intervention

別刷請求先

東京都品川区旗の台1-5-8

受付日

平成29年2月3日

受理日

平成29年3月10日

日化療会誌 65 (5): 751-757, 2017