Vol.65 No.6 November 2017
抗菌薬感受性報告
2012年から2015年に本邦で分離されたMRSAのダプトマイシンに対する感受性調査報告―特定使用成績調査中間結果―
1)MSD株式会社ファーマコビジランス領域*
2)同 メディカルアフェアーズ
要旨
Daptomycin(DAP)の市販後から3年間(2012年4月~2015年4月)に日本国内の医療機関において患者より分離された,血液由来株300株および皮膚・軟部組織由来株600株,計900株のmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)のDAP,vancomycin,teicoplanin,linezolid,arbekacinに対する感受性調査を実施した。感受性測定法および感受性基準はClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)に準拠し,年度ごとに集計した。その結果,2012,2013および2014年度に収集したMRSAに対するDAPのMIC90は,血液,皮膚・軟部組織由来株とも,いずれの年度でも0.5 μg/mLとなり,すべての分離株がDAPに感受性であった。また,各年度のDAPの幾何平均MICは血液由来株でおのおの0.48,0.37,0.39 μg/mL,皮膚・軟部組織由来株で0.40,0.34,0.42 μg/mLでMICの幾何平均の各分離年間の変動は2倍以内であった。また,いずれの対照薬についても耐性の分離株はなかった。
これらのことは本邦で分離されたMRSAに対しDAPが高い抗菌活性を維持していることを示すものであった。
Key word
daptomycin, vancomycin, MRSA, surveillance, antimicrobial susceptibility
別刷請求先
*東京都千代田区九段北1-13-12 北の丸スクエア
受付日
平成28年12月19日
受理日
平成29年9月4日
日化療会誌 65 (6): 821-824, 2017