ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.66 No.3 May 2018

総説

管理職兼務としての感染制御専門薬剤師の役割―薬剤部門と感染部門をどうマネジメントするか―

木村 匡男

鈴鹿回生病院薬剤管理課

要旨

 大学病院などの大規模病院では感染症専門医やInfection Control Doctor(ICD),感染管理認定看護師(ICN),抗菌化学療法認定薬剤師(IDCP),感染制御認定薬剤師(PIC),感染制御専門薬剤師(ICPS),感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT)が複数名いる一方で,中・小規模病院ではICDやICNはいるが感染症専門医が不在であり,IDCPやICPS,PICも少ない。また,医師は多忙であり,感染制御活動にかかわる時間も少ないのが現状である。
 当院において,IDCPやICPSが積極的に感染制御活動にかかわったことで,院内の抗微生物薬の適正化や耐性菌の減少などに貢献できた。さらに薬剤師の教育を行ったことでPICを取得させることができ,院内での感染制御活動の幅が広がった。薬剤部門の管理者は,感染制御に携わる薬剤師に対して感染の業務に費やす時間をしっかり確保するための体制づくりをする必要がある。さらに,認定・専門薬剤師に対して資格手当をつけてもらえるように病院に働きかけ,職員のモチベーション向上にも努めるべきである。
 薬剤師の教育はICNのように研修が必須ではないため,各施設の実臨床のなかで勉強し,知識をつけていかなければいけない。各施設で教育体制を構築することも必要であるが,施設により指導者の偏りがみられることから,地域連携での交流や県の病院薬剤師会や地域の薬剤師会などで開催している研究会などをとおして,その地域での薬剤師の育成も行い,各施設での抗微生物薬の適正使用に繋げていくことも重要であると考えられる。
 院内の感染制御を行っていくためには,感染症治療のみならず感染対策にもかかわることができる薬剤師が中心となることで,他職種との話し合いや交渉をするうえで円滑に感染制御活動を行っていけると考えられる。

Key word

antimicrobial stewardship, management, education

別刷請求先

三重県鈴鹿市国府町112-1

受付日

2017年11月29日

受理日

2017年12月11日

日化療会誌 66 (3): 359-365, 2018