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書誌情報

Vol.66 No.6 November 2018

総説

日本の国公立大学附属病院における注射用抗菌薬使用の現状と課題

泉川 公一1, 2), 冨田 隆志1, 3), 西村 信弘1, 4), 丹羽 隆1, 5), 高山 和郎1, 6), 大花 昇1, 7), 草間 文子1, 8), 飛田 征男1, 9), 根ヶ山 清1, 10), 松田 淳一1, 11), 勝見 真琴1, 12), 佐藤 智明1, 13), 徳江 豊1, 14), 村上 啓雄1, 15)

1)国公立大学附属病院感染対策協議会
2)長崎大学医歯薬学総合研究科臨床感染症学分野
3)広島大学病院薬剤部
4)島根大学医学部附属病院薬剤部
5)岐阜大学医学部附属病院薬剤部
6)東京大学医学部附属病院薬剤部
7)福島県立医科大学附属病院検査部
8)新潟大学医歯学総合病院検査部
9)福井大学医学部附属病院検査部
10)香川大学医学部附属病院検査部
11)長崎大学病院検査部
12)東北大学病院診療技術部検査部門
13)東京大学医学部附属病院検査部
14)群馬大学医学部附属病院感染制御部
15)岐阜大学医学部附属病院生体支援センター

要旨

 2016年に厚生労働省から発表された,薬剤耐性アクションプランは抗菌薬適正使用をはじめさまざまな提言がされている。抗菌薬適正使用について,国公立大学附属病院感染対策協議会のサーベイランス作業部会・臨床検査技師部会ならびに,薬剤師部会でのデータをもとに日本の国公立大学附属病院における主要な耐性菌の検出状況と注射用抗菌薬使用の現状について経年的な変化も含めて検討した。カルバペネム耐性腸内細菌科細菌は2015年には657症例に検出されていた。基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌は経年的に増加が顕著であったが,多剤耐性緑膿菌,2剤耐性を含む緑膿菌の検出は概ね横ばいであった。注射用抗菌薬の使用量は全体として増加傾向にあり,なかでもペニシリン系薬の増加が顕著で,カルバペネム系薬は顕著ではないものの増加傾向にあった。それぞれの大学病院において,カルバペネム系薬は比較的,均一に使用されている一方で,タゾバクタム/ピペラシリンは使用が少ない病院と多い病院のばらつきが強い傾向にあった。薬剤耐性アクションプランの確実な遂行により,抗菌薬適正使用が進み,薬剤耐性菌が十分にコントロールされることが重要である。

Key word

national action plans on antimicrobial resistance, appropriate use of antimicrobials, national and public university hospitals, current status, parenteral antimicrobials

別刷請求先

長崎県長崎市坂本1-7-1 国際医療センター3階

受付日

2018年3月22日

受理日

2018年6月20日

日化療会誌 66 (6): 738-748, 2018