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書誌情報

Vol.67 No.1 January 2019

短報

新潟県内における抗菌薬適正使用の実施状況の変化と実施に関連する因子の検討

片桐 光1), 三星 知2), 片桐 裕貴2), 継田 雅美3), 田邊 嘉也4)

1)新潟市民病院薬剤部
2)社会医療法人新潟勤労者医療協会下越病院薬剤課
3)新潟薬科大学薬学部臨床薬学研究室
4)新潟県立新発田病院呼吸器内科

要旨

 新潟県における抗菌薬適正使用の推進状況について調査するために,2015年6~7月にアンケートを実施し,2007年に行ったアンケート結果と比較した。アンケートは125施設中103施設から回答を得た。抗菌薬使用指針の作成割合は34%から68%,抗菌薬使用制限の実施割合も35%から64%,抗菌薬の使用量把握も61%から80%と有意な増加を認めた。一方,薬剤部(科)での抗菌薬感受性把握は34%から37%とほとんど増加を認めなかった。また,アンチバイオグラム作成率は約50%であった。多変量解析の結果,これらの指標は日本医療機能評価機構の認定(以下,機能評価)取得,infection control team(ICT)設置,認定薬剤師在籍等と有意な相関を認めた。以上をまとめると,新潟県では抗菌薬使用指針の作成,抗菌薬使用制限の実施,抗菌薬使用量の把握については2007年と比較して推進されており,ICT設置や機能評価の取得など組織的な取り組みが重要であることが示唆された。また,抗菌薬の感受性把握にはICT設置だけでなく認定薬剤師が重要な役割を果たしていることが示唆された。加えて,アンチバイオグラムの作成には臨床検査技師が,細菌検査室がない施設においては認定薬剤師が中心的な役割を担っていると考えられた。

Key word

antimicrobial, appropriate use, surveillance, infection control team

別刷請求先

新潟県新潟市中央区鐘木463番地7

受付日

2018年1月19日

受理日

2018年7月10日

日化療会誌 67 (1): 44-50, 2019