Vol.67 No.2 March 2019
総説
肺非結核性抗酸菌症の治療の問題点と今後の戦略
複十字病院呼吸器センター・臨床医学研究科*
要旨
肺非結核性抗酸菌(NTM)症の標準治療は,副作用や長期治療など問題点が多いにもかかわらず20年間ほとんど変化がない。マクロライド耐性化は1980年以前の治療に戻ることを意味しており,予後不良となる。本邦ではマクロライド単剤投与やethambutolの副作用による治療逸脱が問題として報告されている。このため,新薬が登場するまでは,副作用の少ない慎重な治療を行っていく必要がある。本稿では,肺NTM症治療の歴史的経過と問題点を挙げ,さらに今後の治療戦略について述べた。学会や国を挙げて同症に取り組んでいくことが望まれている。
Key word
atypical mycobacteriosis, treatment
別刷請求先
*東京都清瀬市松山3-1-24
受付日
2018年10月3日
受理日
2018年11月9日
日化療会誌 67 (2): 182-186, 2019