Vol.67 No.4 July 2019
総説
小児科領域におけるこれからの薬剤耐性菌(AMR)対策
国立成育医療研究センター感染症科・感染制御部*
要旨
小児は感染症に罹患する機会が多く,薬剤耐性菌対策の重要な標的である。しかし,小児感染症の主要な原因菌である肺炎球菌,黄色ブドウ球菌,大腸菌に対する第一選択薬の耐性化は過去20~30年で進み,代替えとなる広域抗菌薬に対する耐性化も進行が認められる状況である。これらを助長しているのが,市中感染症に対する外来における不適正な抗菌薬の使用である。抗菌薬適正使用を推進する手法は一部の入院医療機関において開発が進み,広域抗菌薬処方の許可制の導入や感染症専門医のコンサルテーションは,抗菌薬の削減のみならず,感受性の回復や感染症予後の改善に寄与している。一次診療における有効な介入手段は明らかではないが,公的ガイドラインの導入,処方量のモニタリング,地域連携による介入手法の開発が進められている。
Key word
antimicrobial resistance, pediatric infectious diseases, antimicrobial stewardship
別刷請求先
*東京都世田谷区大蔵2-10-1
受付日
2018年9月12日
受理日
2019年1月15日
日化療会誌 67 (4): 446-451, 2019