Vol.67 No.6 November 2019
短報
Diagnosis Procedure Combination(DPC)データを用いた抗菌薬使用量調査の有用性の検討
1)国立国際医療研究センター病院国際感染症センターAMR臨床リファレンスセンター*
2)京都薬科大学臨床薬剤疫学分野
3)国立国際医療研究センター病院国際感染症センター
4)同 薬剤部
要旨
抗微生物薬使用量(AMU)の集計は煩雑であり,病院薬剤師の業務負担につながっている。Diagnosis Procedure Combination(DPC)データを利用したAMU集計は簡便であるため,われわれはDPCデータの一種であるEF統合ファイルから抗菌薬使用量を自動的に集計するアプリケーション(Antimicrobial Consumption Aggregate System:ACAS)を開発した.今回,その正確性について検証した。2016年4月1日から2017年3月31日までに当院で使用された注射用抗菌薬について,ACASを用いてEF統合ファイルから自動集計したAMUと,データウェアハウス(DWH)を用いて電子カルテ情報から手動で集計したAMUを比較した。AMUの比較には,Defined Daily Dose(DDD)で標準化した100患者あたりの抗菌薬使用密度(Antimicrobial Use Density:AUD)と抗菌薬使用日数(Days of Therapy:DOT)を用いた。
EF統合ファイルとDWHから集計したAUD,DOTにおけるSpearmanの順位相関係数はそれぞれ0.998,0.999であり,相関が認められた(p<0.001)。バンコマイシンのみEF統合ファイルとDWHから集計したAUDに17.5%と乖離がみられた。この乖離は,DWHからの集計では使用バイアル数を,EF統合ファイルからの集計では実使用量を集計したことが原因と考えられた。ACASを用いたAMU集計は有用と考えられたが,限定された薬剤における検討であるため,さらなる検証が必要である。
Key word
diagnosis procedure combination, antimicrobial use
別刷請求先
*東京都新宿区戸山1-21-1
受付日
2019年1月8日
受理日
2019年6月6日
日化療会誌 67 (6): 640-644, 2019