Vol.67 No.6 November 2019
市販後調査報告
Candida属およびAspergillus属に対するcaspofunginの感受性調査(追加報告)―特定使用成績調査―
1)MSD株式会社メディカルアフェアーズ*
2)同 ファーマコビジランス
3)同 非臨床開発部
4)同 臨床開発部
要旨
Caspofungin(CPFG)における市販後調査の一環として,2012年から2014年まで3年間のCPFGに対する感受性調査結果を報告した(日化療会誌 2017;65:17-26)。その後2015年から2016年の2年間に日本国内で真菌感染症が疑われた患者より分離されたCandida属6菌種およびAspergillus属4菌種のCPFGに対する感受性を測定し,2012年から5年間の結果として集計した。感受性測定はClinical and Laboratory Standards Instituteの微量液体希釈法M27-A3およびM38-A2に従って実施し,Candida属の感受性クライテリアはM27-S3に従った。
2015年および2016年における分離株の感受性結果では,Candida albicans(50株/年),Candida parapsilosis(30株/年),Candida glabrata(30株/年)およびAspergillus fumigatus(50株/年)に対するCPFGのMIC90(MEC90)はいずれの年も,それぞれ0.25,2,0.5,0.25 μg/mLであった。また,2012年から2014年の3年間を加えた,5年間の集計では,上記以外の菌種(Candida tropicalis,Candida krusei,Candida guilliermondii,Aspergillus flavus,Aspergillus nigerおよびAspergillus terreus)も含めて,各菌種に対するCPFGのMIC50(MEC50)およびMIC90(MEC90)の経年変化は2倍以内で,MICが耐性基準である2 μg/mLを超える菌株はなかった。これらの結果から,Candida属およびAspergillus属のCPFGに対する感受性の低下および耐性化の傾向はないと判断された。
Key word
caspofungin, Candida, Aspergillus, drug susceptibility
別刷請求先
*東京都千代田区九段北1-13-12 北の丸スクエア
受付日
2018年12月25日
受理日
2019年5月21日
日化療会誌 67 (6): 651-659, 2019