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書誌情報

Vol.68 No.1 January 2020

総説

男性性器感染症の診断と治療

東郷 容和1), 山本 新吾2)

1)医療法人協和会協立病院泌尿器科
2)兵庫医科大学泌尿器科・腎移植センター

要旨

 前立腺炎症候群や精巣上体炎は外来診療において,度々遭遇する男性性器感染症である。
 前立腺炎症候群は,男性における炎症性疾患の中で頻度の高い疾患とされ,National Institutes of Healthにより,4つのカテゴリーに分類されている。急性細菌性前立腺炎の診断および治療は,容易に行えることが多いが,前立腺膿瘍の併発はときに重篤となるため,注意が必要である。慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の症状は多岐にわたり,単一の治療のみでは軽快せず,治療に難渋することがある。近年,この複雑な病態から,症状別に層別化しそれぞれに対する治療を行う試みがなされている。
 急性精巣上体炎は,特異的な局所症状があることから診断は容易に行えるが,幼少期や思春期では,まず精索捻転症を除外する必要がある。また,年齢別に同定される原因菌の頻度が異なるため,抗菌薬はその原因菌を考慮したうえで選択する必要がある。治療に難渋する場合は,結核菌の存在も念頭におくべきである。慢性精巣上体炎では,疼痛に対する症状緩和治療が主となる。

Key word

prostatitis, prostate abscess, epididymitis

別刷請求先

兵庫県川西市中央町16番5号

受付日

2019年2月25日

受理日

2019年11月5日

日化療会誌 68 (1): 143-154, 2020