Vol.68 No.6 November 2020
市販後調査報告
Metronidazole注射液の安全性と有効性―使用成績調査―
1)ファイザーR&D合同会社市販後調査企画マネジメント部*
2)同 バイオメトリクス・データマネジメント統括部
要旨
Metronidazole注射液(アネメトロⓇ点滴静注液500 mg,以下,本剤)は,2014年7月に嫌気性菌感染症,感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む,以下,感染性腸炎)およびアメーバ赤痢を適応症として承認された。使用実態下における本剤の安全性および有効性を検討する目的で,使用成績調査を実施した。解析対象集団107例のうち,男性(64.5%)および65歳以上(62.6%)の割合が高かった。診断名の内訳は,嫌気性菌感染症74例,感染性腸炎23例,アメーバ赤痢7例および嫌気性菌感染症+感染性腸炎3例であった。副作用は7例に10件認められ,副作用発現割合は6.54%であった。主な副作用は,悪心および肝障害(各1.87%)であった。重篤な副作用は1例に1件認められ,肝障害であった。未知の副作用は2例に2件認められ,舌変色および重篤な肝障害であった。中枢神経障害に該当する副作用は1例に1件認められた。臨床効果は,有効91例,無効4例,判定不能12例であり,有効率は95.8%であった。診断名別の有効率は,嫌気性菌感染症で93.8%,感染性腸炎,アメーバ赤痢および嫌気性菌感染症+感染性腸炎でいずれも100.0%であった。微生物学的効果は,消失13例,推定消失22例,判定不能72例であり,消失率は100.0%であった。原因微生物別の有効率は,嫌気性菌感染症ではBacteroides thetaiotaomicronおよびFusobacterium spp.,感染性腸炎ではClostridioides(Clostridium)difficile,アメーバ赤痢ではEntamoeba histolytica,嫌気性菌感染症+感染性腸炎ではC. difficileにおいて,いずれも100.0%であった。原因微生物別の消失率は,嫌気性菌感染症のFusobacterium spp. で100.0%,感染性腸炎のC. difficileで85.7%,アメーバ赤痢のE. histolyticaで100.0%であった。以上,使用実態下における本剤の安全性および有効性について,新たな注意喚起を要する特記すべき事項は認められなかった。
Key word
metronidazole, postmarketing surveillance, effectiveness, safety
別刷請求先
*東京都渋谷区代々木3-22-7
受付日
2020年6月4日
受理日
2020年9月8日
日化療会誌 68 (6): 632-645, 2020