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書誌情報

Vol.69 No.3 May 2021

原著・臨床

眼科日帰り手術クリニカルパスの変更に伴う経口第3世代セファロスポリン系抗菌薬使用量変化に関する検討

倉本 恵里子1), 室井 延之1, 2), 平畠 正樹1), 平山 晴奈1), 柴谷 直樹2), 土井 朝子3), 栗本 康夫4), 橋田 亨1)

1)神戸市立医療センター中央市民病院薬剤部
2)神戸市立神戸アイセンター病院薬剤部
3)神戸市立医療センター中央市民病院感染症科
4)神戸市立神戸アイセンター病院眼科

要旨

 2016年に厚生労働省は薬剤耐性アクションプランを宣言し,抗菌薬適正使用支援(antimicrobial stewardship:AS)の必要性を強調した。本邦における経口第3世代セファロスポリン系薬の使用量は他国と比べて多いため,われわれは経口第3世代セファロスポリン系薬の適正使用を推進した。
 神戸市立医療センター中央市民病院(以下,当院)における使用状況を調査したところ,経口第3世代セファロスポリン系薬のセフカペンピボキシル錠が眼科の日帰り手術におけるクリニカルパスの抗菌薬として登録されており,非常に多く処方されていた(AS介入前)。当院では,抗菌薬適正使用支援チーム(antimicrobial stewardship team:AST)設置前に,感染制御チーム(infection control team:ICT)が外来患者に対するASを実施していたことから,ICTと眼科で協議し,2016年11月にクリニカルパスへ登録されていたセフカペンピボキシル錠を削除した(AS介入後)。今回,このAS介入前後における抗菌薬使用量の変化,術後眼内炎および薬剤費への影響について調査した。
 結果,AS介入前後においても術後眼内炎の発症は認められず,セフカペンピボキシル錠の使用量である処方件数割合と薬剤費が有意に減少した(p<0.001)。
 AS介入前後においても術後眼内炎の発症はなく,術後予防経口抗菌薬の使用量を減少させ,抗菌薬の適正使用を支援することができたと考える。

Key word

antimicrobial stewardship, oral third-generation cephalosporins, endophthalmitis, outpatient

別刷請求先

兵庫県神戸市中央区港島南町2丁目1―1

受付日

2019年9月4日

受理日

2020年12月9日

日化療会誌 69 (3): 249-254, 2021