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書誌情報

Vol.70 No.4 July 2022

原著・臨床

健康保険組合被保険者レセプトデータを用いたtosufloxacin製剤(オゼックス®錠75,150,オゼックス®細粒小児用15%およびオゼックス®錠小児用60 mg)処方時の18歳未満の患者における関節に関連する有害事象の発現頻度の調査

岩田 敏1), 福田 淑子2), 地曳 康訓2), 住田 繁紀2)

1)国立がん研究センター中央病院感染症部
2)富士フイルム富山化学株式会社

要旨

 株式会社JMDCが提供する健康保険組合の被保険者レセプトデータを用い,2010年1月1日~2019年12月31日までの10年間のtosufloxacin(TFLX)製剤(オゼックス®錠75,150,オゼックス®細粒小児用15%,オゼックス®錠小児用60 mg)処方による18歳未満の患者における関節に関連する有害事象の発現頻度を解析し,以下の結果を得た。
 1)10年間のTFLX処方による18歳未満の患者における関節に関連した有害事象の発現頻度は10.42%で,非fluoroquinolone系全身性抗菌薬(Non-Quinolones)群と同程度(10.57%)であり,初回処方後の関節障害初発発現時期別ならびに初回処方時の年齢別関節障害発現頻度も同程度であった。
 2)TFLX群での処方回数別の関節障害発現頻度は9.52~10.74%で,処方回数にかかわらず概ね同程度であった。
 3)対象被保険者と各対象被保険者の観察期間を同時に考慮した人年法でのTFLX群の関節障害発現頻度は31.48(1,000人年)で,Non-Quinolones群(32.24;1,000人年)と比べ同程度であり,相対リスクは0.98(95%信頼区間:0.96~0.99)であった。
 今回の検討は,レセプトデータを用いたTFLX処方による18歳未満の患者での長期間の関節障害発現頻度についての初めての報告である。Non-Quinolones群と比べ,本薬の18歳未満の患者への使用による関節障害の発現リスクは同程度であるものの,本薬を小児肺炎,中耳炎の治療選択肢として安全且つ有効に適正使用するためにも,本薬使用に伴う関節症状を含む安全性情報の収集を継続的に行っていく必要がある。

Key word

tosufloxacin, health insurance claim, child, joint-related adverse effect

別刷請求先

東京都中央区築地5-1-1

受付日

2022年3月2日

受理日

2022年5月26日

日化療会誌 70 (4): 366-372, 2022