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書誌情報

Vol.72 No.4 July 2024

原著・臨床

日本国内で開発され,米国で臨床試験が行われていない抗菌薬の用法用量に関するアンケート調査

日馬 由貴1), 町田 尚子1, 2), 松尾 裕央1), 山岸 義晃1), 忽那 賢志1)

1)大阪大学医学部附属病院感染制御部
2)同 薬剤部

要旨

 日本国内で開発され,米国で臨床試験が行われていない抗菌薬は,添付文書に記載された用法用量がpharmacokinetics/pharmacodynamicsに基づく理想的な用法用量でないことが多い。そこで,病院でそれらの抗菌薬の用法用量を独自に定めているかどうか,どのような用法用量を採用しているかを調査した。
 Google Formでアンケートを作成し,日本感染症教育研究会のメーリングリスト登録者に対し調査を行った。対象は,cefmetazole(CMZ),cefotiam(CTM),flomoxef(FMOX),sulbactam/cefoperazone(SBT/CPZ),cefozopran(CZOP)とし,調査内容は,所属施設が対象の抗菌薬を採用しているか,用法用量に関する院内指針が存在するか,腎機能障害や血液透析患者,小児患者に対する院内指針があるか,院内指針の内容とした。
 56施設から回答があり,52施設が解析対象となった。CMZは49施設(94.2%),CTMは40施設(76.9%),FMOXは25施設(48.1%),SBT/CPZは34施設(65.4%),CZOPは19施設(36.5%)で採用されていた。最も用法用量の院内指針が策定されていたのがCMZ(採用施設の51.0%)であり,最も策定されていなかったのがFMOX(16.0%)であった。院内指針が存在する施設の85.2%で腎機能障害時の指針が策定されていたが,間欠的血液透析,持続血液透析の院内指針が策定されている割合はそれぞれ56.7%,20.0%と低かった。小児用の院内指針は20.0%のみで策定されていた。院内指針に記載された用法用量は施設間で異なっていた。
 米国で承認されていない抗菌薬の用法用量に関する院内指針は多くの病院で未策定であり,特に透析用量や小児用量の策定がされていなかった。また,その内容は病院間で統一性がなかった。

Key word

usage, dose, manual, guideline, questionnaire

別刷請求先

大阪府吹田市山田丘2-15

受付日

2023年11月16日

受理日

2024年3月14日

日化療会誌 72 (4): 351-357, 2024